症例Report
『口腔内腫瘍』
:2016. 11. 20
:西川
症例
口腔内腫瘍 <フレンチブルドッグ 推定11歳 避妊メス>
稟告
歯肉が急激に腫れたとのことで他院を受診し、歯肉に腫瘍があると言われた。漢方の処方を受けているが良化しない。
一般所見
右下顎第2前臼歯から右下顎第3後臼歯歯肉に腫瘤形成。食欲も低下している。
[肉眼所見]
右下顎の歯肉に腫瘤が認められる
CT検査所見
右下顎第2前臼歯から右下顎第3後臼歯歯肉の範囲で軟部組織が腫脹しており、CT値の上昇および下顎骨の融解像が認められた。これは腫瘍による骨浸潤と考えられた。また、肺への明らかな転移像は認められなかった。
[CT検査所見]
右下額骨周囲に骨融解及びCT値の上昇が認められる
病理検査所見
パンチ生検により扁平上皮癌と診断された。
治療
本症例は口腔内にできた腫瘍が急激に大きくなり食欲も低下していることから、迅速に検査を行い診断する必要があった。口腔内の扁平上皮癌は局所浸潤が強く、転移率は比較的低いと言われており、積極的な手術により長期生存も可能になることが知られている。CT検査により腫瘍が右下顎歯肉および右 下顎骨に広範囲に浸潤していたため、右下顎骨片側全切除を実施した。同時に右下顎リンパ節の郭清も行った。
[術中写真1]
腫瘤を含む下顎を露出
[術中写真2]
切除した下顎
その後
手術後1週間は、ウェットタイプのフードをおだんごにして食べる補助をしていたが、その後は上手に自力で食べるようになった。外貌に関しても十分許容できる印象であった。
[術後の外貌]