症例Report
『外鼻孔狭窄と軟口蓋過長症』
:2017. 6. 10
:吉田
症例
鼻翼切除および軟口蓋切除術 <ボストンテリア 7ヶ月齢 メス>
稟告
フィラリア薬処方のために来院された。外見上の外鼻孔の狭窄が認められ、呼吸が荒いとのことであった。
治療
本症例は避妊手術を希望されていたため、避妊手術と同時に尾翼の切除による外鼻孔の拡大と必要に応じて軟口蓋の切除を行うこととした。全身麻酔をかける際に軟口蓋の長さを確認したところ過長も認められたため、部分的な切除を行った。
[正常な外鼻孔の広さと外鼻孔狭窄症例における外鼻孔の広さ]
外鼻孔狭窄では鼻の穴が狭小化している。出典; Fossum TH. Small animal surgery
[外鼻孔の外貌]
鼻翼切除後の外貌。
[軟口蓋1]
軟口蓋が長く、気道を一部塞いでいた。
[軟口蓋2]
気道を塞いでいる部分(過長している部分)の軟口蓋をレーザーによって切除した。
短頭種気道症候群とは
短頭種気道症候群とは、ブルドック種、パグ、シーズー、ペキニーズ、ボストン・テリアなどの短頭種と言われる犬種に認められる、軟口蓋過長、外鼻孔狭窄、喉頭室外反、喉頭虚脱などを総称した疾病名です。なかでも外鼻孔狭窄は短頭種の約45%で検出されたという報告があります。短頭種気道症候群の犬は、前述の上部気道の問題により努力性吸気、開口呼吸、チアノーゼなどの呼吸器症状がみられ、呼吸困難を引き起こすこともあります。今回の症例は外見上明らかな外鼻孔の狭窄と軟口蓋の過長が認められたため、呼吸困難の予防のために避妊手術と同時に処置を行いました。
その後
術後1週間で、避妊手術の術創と外鼻孔の縫合部の抜糸を行いました。術前に聞かれた荒い呼吸音は改善し、術前に認められた若干の運動不耐性も認められなくなったとのことです。