症例Report
『形質細胞性足皮膚炎』
:2016. 2. 8
:平塚
症例
形質細胞性足皮膚炎 <雑種猫 年齢不詳 オス>
稟告
肉球の腫れ及び出血
臨床所見
右前肢の一番大きな肉球が全体的に腫れ上がり、自壊して潰瘍を形成、出血を起こしていました。
[患部外観]
検査結果
腫れの一部をパンチバイオプシーにて採取、病理組織学検査にて形質細胞性足皮膚炎と診断されました。
治療
まずは内科治療として抗生物質及びステロイド剤を用いまいたが、改善が認められなかったため、腫瘤部分の摘出を行いました。
[手術所見]
腫瘤を取り除いた様子
[手術所見]
縫合後の肉球
形質細胞性足皮膚炎とは
形質細胞性足皮膚炎とは、免疫介在性あるいはアレルギー性と考えられている、肉球における形質細胞性炎症性疾患で、猫で稀に認められます。肉球の軟化、腫脹及び潰瘍化などが主な症状です。軽症例では自然治癒してしまうこともありますが、今回のような潰瘍化まで至る重症例では、出血や腫れ、疼痛に伴う跛行などを引き起こし、内科的な治療では管理が難しい場合もあります。
その後
肉球という場所柄、術創が完全にふさがるまでに少し時間を要しましたが、無事抜糸も済み、退院を迎えました。肉球を大きく切除したことによる歩行への影響もほとんど認められず、元気に過ごしています。形質細胞性足皮膚炎は、手術部位での再発や他の肉球での発生の可能性もある疾患であるため、今後も注意が必要です。
[抜糸後の患部]