症例Report
『椎間板脊椎炎』
:2016. 12. 26
:山本
症例
椎間板脊椎炎 <トイプードル 8歳 未去勢雄>
稟告
一週間位前からお腹や腰を触るとひどく痛がる。
検査
身体検査では腹部を触診すると強い緊張が認められ、腰痛や腹痛の存在が疑われました。 レントゲン検査を実施したところ、胸椎の一部に骨増生が認められました。
第11-12胸椎の腹側に骨増生所見が認められる。
治療経過
変形性脊椎症や脊椎の骨折、腫瘍などの可能性を疑ってオーナー様にはCTやMRI検査を勧めつつ、当初は消炎鎮痛剤や神経痛治療薬にて反応を見ていました。内服である程度疼痛は緩和できるものの完治するほどではなく、その後、後肢の神経機能の低下が見られるようになったため、院内にてCT検査を実施しました。CT検査の結果、軽度のヘルニアは認められるものの胸椎の脱臼や骨折は見られず、骨増生の所見から慢性経過した椎間板脊椎炎の可能性が疑われました。
椎間板脊椎炎とは
椎間板に細菌や真菌が感染し、隣接する椎体に骨髄炎が生じる病態を言います。当初は泌尿器や心臓、口腔内などの他の部位に感染が生じ、そこから原因菌が血行性に椎体に到達し発生すると考えられています。症状は様々ですが、最も多いのは脊椎の疼痛で、体のどこを触れても痛がるほど感覚過敏の場合もあります。
治療
椎間板脊椎炎は感染性炎症疾患であるため手術などの適応ではなく、治療は基本的に抗生物質や消炎鎮痛剤の投与と安静が中心となります。特に抗生物質の投与については症状が消えてからも再発予防で2か月は投与を継続します。本症例でも抗生剤と鎮痛剤を併用しながら経過を見ていったところ、状態は徐々に改善し疼痛も消失しました。現在は再発に注意しながら経過観察を行っている状態です。