症例Report
『歯根尖膿瘍』
:2015. 10. 6
:平塚
症例
歯根尖膿瘍 アメリカンコッカースパニエル 7歳 メス>
稟告
右眼の下部の腫れ
検査結果
腫れの部位に対し針吸引生検を行ったところ、多数の炎症細胞が見つかりました。
治療
飼い主の希望によりまずは抗生物質の投与を行いました。一時的に腫れは引いたものの、間もなく再発し、自壊、排膿をへと至りました。麻酔下での口腔内の観察にて右上第四前臼歯に歯石沈着及び破折を認め、CT撮影にて歯根周辺に骨吸収病巣を認めたため、右上第四前臼歯に対し抜歯処置を実施しました。
[CT画像(正常側)]
歯根周囲に吸収病巣は認められない
[CT画像(異常側)]
上顎第四前臼歯歯根周囲に黒く抜けた吸収像が認められる
歯根尖膿瘍とは
歯根尖膿瘍とは何らかの原因で歯の根元、歯根周辺にて感染、炎症が起こることで膿瘍を形成する疾患で、犬では比較的よく見受けられる疾患です。原因は重度の歯周病や歯の破折などに伴う歯根周辺の細菌感染であり、感染部位に近い顔面の腫れや排膿として症状が現れます。抜歯等、原因の歯に対して治療を行うことで完治する場合が多いです。
その後
手術後顔面の腫れは消失し、再発することなく元気に生活しています。なお、抜歯後も問題なく食事を摂れているため、噛み合わせの問題もないかと思われます。この疾患は歯周病からの発生も多いため、今後は歯ブラシ等の口腔内ケアが重要となるでしょう。