症例Report
『浸潤性脂肪腫』
:2015. 6. 11
:山本
症例
浸潤性脂肪腫 <ウェルシュ・コーギー 12歳 去勢雄>
稟告
左脇の下にしこりができ、急速に増大してきたとの事で来院。
病理検査
左脇にソフトボール大の腫瘤が存在しており、パンチアウト生検にて採材を行った。病理結果は浸潤性脂肪腫を疑う所見との事だった
浸潤性脂肪腫は転移を起こさない腫瘍であるが、周囲の組織に浸潤するため疼痛や筋肉の圧迫性萎縮を引き起こし運動性を妨げる可能性があるため、通常外科的切除が選択される。
本症例もオーナーとの相談の結果、外科的切除を行うことになった。
腫瘍切除
左脇の腫瘍を切除した。腫瘍の直径は最大18cmになるものであった。
術前写真 中心の傷は生検を行ったもの痕p>
術中写真 腫瘤を切除後
病理結果
切除した腫瘤を再度病理検査に依頼した所、悪性間葉系腫瘍との結果だった。間葉系組織とは非上皮系組織と言われ、血管や筋肉、骨や脂肪組織など、身体の表面を覆う体表組織と身体の中にある管状構造をもつ組織(肺や消化管)との隙間を埋める組織である。今回は術前と術後で病理検査の結果が異なるものになってしまったが、これは部分的に組織を採取した場合、腫瘤を構成する細胞が複数存在していると採取する場所によっては増殖している中心の細胞を特定できない事があるということである。
術後
術創の状態は良好だが、切除されたものが悪性腫瘍であったため現在経過観察中である