症例Report
『熱中症 永久気管切開』
:2015. 7. 10
:minami
症例
永久気管切開<雑種 13歳 オス(未去勢)>
最近呼吸が荒かったが、今朝散歩後から元気なく舌が蒼黒い。
来院時は体温が39.6℃と上昇。脱水、流涎があり、チアノーゼの症状を認めた。血液検査では腎機能の軽度悪化を認める以外は著変は無かった。腹部、心臓超音波検査では著変なし。胸部レントゲン検査では肺炎所見を認めた。
症状から喉頭麻痺からの熱中症を疑い、点滴及び酸素吸入にて治療すると改善が認められた。
しかし、入院翌日に再度呼吸困難。
手術
肺炎所見も認められていた為、緊急に気管切開手術を実施。第3から第6気管気管軟骨を切開し永久気管瘻とした。
術後は呼吸も落ちつき、肺炎も改善した。術後1週間で退院し、2週目に抜糸を行いました。
術後
気管瘻周囲の管理の為に定期的な毛刈りおよび消毒は必要だが、呼吸状態は良い状態で管理していた。
徐々に頚部皮膚が伸展し、気管瘻を余剰皮膚で覆ってしまう為の呼吸状態の悪化が認められ始めたため、術後8ヶ月後に余剰皮膚の切除手術を実施。
その後
現在、気管切開より1年以上を経過していますが、状態は良好です。お散歩も行き、元気に歩いていますが、熱中症対策と定期的な診察をお願いしています。
しかし、頚部皮膚の伸展により切開孔の閉塞が生じる可能性があるため、必要に応じて再度皮膚切除の手術が必要になる可能性もお話ししています。
今回の症例では喉頭麻痺を疑っていましたので、被裂軟骨側方化手術(タイバック手術)も考慮しましたが、肺炎所見を認めたため、緊急に永久気管切開手術を実施しました。
飼い主様の協力も必要になりますが、今後も定期的な検診と処置を実施しながら良い状態を維持できればと思っています。