症例Report
『犬LGLリンパ腫』
:2017. 3. 14
:minami
症例
犬LGLリンパ腫 <トイプードル 6歳齢去勢♂>
稟告
低タンパク血症および腹水
身体検査
以前より皮膚炎が散在して認められていたが、それ以外は症状として認められるものはなし。
超音波検査
腹水が認められ、性状を検査してみる漏出性の腹水であった。超音波検査では消化管の明らかな異常は認められなかった。
UPC(尿タンパククレアチニン比)は正常であり、腎臓からの蛋白漏出は否定的だった。
内視鏡検査
飼い主様と相談した上で、消化管からの蛋白漏出の所見が有るかどうかを確認する為に内視鏡検査を実施した。
十二指腸にて白色斑が多数散見され、リンパ管の拡張が疑われた。
LGLリンパ腫
内視鏡検査での病理組織検査、および圧片塗抹標本からLGLリンパ腫と診断された。LGLリンパ腫は猫ではまれに見られるが、犬での発生は少なく情報も多くはない。現在のところ、割と進行が緩徐な低悪性度腫瘍に分類されている。しかしながら、細胞障害性リンパ球による腫瘍形成のため、消化管穿孔などに注意をしながらの治療となる。
治療
今回の症例においても目に見える症状は認められていなかったため、低悪性度のリンパ腫として治療を開始した。ステロイドとメルファランの内服を投与し始めたところ、アルブミン値も上昇し(正常範囲まではあがっていないが)腹水も消失した。しかし、完治する疾患ではないことをしっかりとインフォームした上で今後も注意深く観察、治療が必要である。