症例Report
『皮膚再建手術2』
:2014. 11. 21
:平塚
症例
血管周皮腫(外科切除及び皮弁実施) <シェットランド・シープドッグ 12才 避妊メス>
稟告
右大腿部外側の腫瘤を主訴に来院
[外貌写真]
右大腿部に大型の腫瘤が認められます
術前検査
腫瘤に対しパンチ生検を実施、間葉系腫瘍であるという病理診断を得ました。 なお、術前の血液検査及び超音波検査などでは異常は認められませんでした。
治療
腫瘤が単発であり、転移を認めなかったことから、外科的切除を実施しました。腫瘍周囲から筋肉の一部も含めて広範囲に切除し、腫瘍を完全にとりきれるよう配慮しました。なお腫瘍組織が大型であり、切除後の皮膚の欠損が大きかったため、欠損部位に対し皮弁法を用いて乳腺付近の皮膚を移植しました(浅後腹壁動脈を用いた有軸型皮弁)。
その後
術後、術創における皮膚の定着は良好であり、皮弁の壊死など起こさず無事抜糸を迎えました。なお、切除した腫瘍は術後の病理診断により血管周皮腫であると判明しました。転移の可能性は低いものの、局所浸潤性の強い腫瘍であるため、再発の可能性を考慮し抗癌剤のメトロノミック療法を実施しています。現在のところ再発は認められませんが、今後の定期的な経過観察が必要であると言えます。なお現在、歩様も正常であり、本人は元気に過ごしています。
[術後1ヶ月後の外貌]
乳腺付近の皮膚を移植、右大腿部に乳頭が認められます