症例Report
『眼瞼腫瘤切除』
:2015. 12. 14
:佐藤
症例
眼瞼腫瘤 <雑種 10歳 避妊メス>
数年前より左上眼瞼に腫瘤を認め、徐々に増大してきた。
当初は点眼薬の使用により、充血や眼脂は落ち着いていたが、ここ一ヶ月ほどで腫瘤の増大が顕著になり充血が悪化したため切除を行うこととなった。
術前写真
麻酔実施後の写真
腫瘤はかなり増大しており、表面の炎症も認められた。盛り上がった肉芽組織が角膜表面を刺激していたため、常に充血していた。
手術実施
手術は、腫瘤の大きさから、通常小さいサイズの場合に行われる楔型の切除は不可能と判断し、H型の方法を選択した。
術後写真
腫瘤を切除した後に、大きき欠損した眼瞼をさらに上側の皮膚を牽引することで補った。縫合糸は6−0のサイズの物を選択した。髪の毛よりも細いサイズの縫合糸を使用することで犬が違和感を感じないよう配慮した。また、自宅ではホットタオルを術創部に当ててもらい、かさぶたを適宜取り除くことでそこから生じる痒みを可能な限り抑えた。実際に本症例では退院後もほとんど眼を気にする様子はなかった。病理診断の結果はマイボーム腺上皮腫という低悪性度腫瘍であったため、再発が無いかどうか経過観察を行うこととした。