症例Report
『瞬膜腺脱出(チェリーアイ)』
:2015. 8. 10
:山本
症例
瞬膜腺脱出(チェリーアイ) <Mix犬 3か月齢 雄>
稟告
左眼が腫れており、流涙、眼脂がみられる
身体検査
左眼の瞬膜腺が脱出して結膜充血と腫脹が認められた。発症年齢からチェリーアイの疑いが強く、当初は点眼による内科治療で状態が改善するか様子を見たが、改善が乏しかったため外科的処置をお勧めした。
[術前] 左眼の瞬膜が突出しており、結膜充血と腫脹が著しい
外科的整復
チェリーアイの術式には様々なものがあるが、今回はアンカー法という脱出した瞬膜を眼窩骨周辺組織に固定する術式で行った
り突出し、外見上は術前とあまり変化がないように見える
チェリーアイ
チェリーアイは瞬膜の内側にある瞬膜腺が外側に飛び出してきてしまう疾患で、4週齢から2歳までの若齢動物に好発します。その原因ははっきりとは分かっていませんが、瞬膜腺を瞬膜の内側につなぎとめている組織が脆弱であると発生すると考えられています。治療は基本的には外科的処置が必要で、放置すると涙液をつくる瞬膜腺が障害されるため乾性角結膜炎(KCS)の発症率が高くなることがわかっています。
術後経過
術後3週間は抗生剤と消炎剤の点眼を継続してもらいました。その結果、術後直後に見られた瞬膜の充血や腫脹も徐々にも治まり、現在は外見上ほとんど気にならないくらいまで落ち着いています。この疾患は再発することもありますが、今のところ経過は良好と思われます。
[術後2か月]突出していた瞬膜も目立たなくなっている