症例Report
『肝細胞癌』
:2017. 6. 7
:minami
症例
肝細胞癌 シェットランドシープドック 10歳齢避妊♀
稟告
他院にて指摘された肝臓腫瘤
身体検査・血液検査
一般身体検査では大きな異常は認められなかったが、肝数値の上昇およびCRPの上昇が認められた。
超音波検査
超音波検査では正中より右肝区域からの発生と思われた直径15cm大の肝臓腫瘤が認められた。
AFP(アルファフェトプロテイン)も18200ng/ml(参照値0ー50)と高値を示し肝細胞癌が示唆された。
CT検査
CT検査によって右肝区域ではなく左肝区域からの腫瘤発生であることがわかった。巨大な腫瘤であることのリスクを飼い主様と相談した上で手術での腫瘤摘出をご希望であった。後日、術中の出血に備えて輸血の準備を整えた上で手術を実施した。
手術
開腹下で外側左葉に発生した巨大腫瘤であることを確認し、一括切除にて腫瘤の切除を実施した。
経過
積極的な疼痛管理も功を奏し、翌日から元気にお散歩もでき、十分な食欲も認められた。また、病理組織検査において悪性腫瘍の肝細胞癌と確認された。肝細胞癌の多くは転移することなく外科的な完全切除で根治出来る可能性のある腫瘍である。しかし、本症例では手術時に内側左葉にも腫瘤病変が認められた。そのため、肝内転移の可能性も含め定期的な血液検査、超音波検査を実施して経過観察をしていく予定である。