症例Report
『胃の平滑筋腫』
:2022. 3. 2
:桐谷
症例
ミニチュアダックス 14歳齢 雌
乳腺腫瘍疑いで右側乳腺全摘出術を行うための術前検査を行った際に、超音波検査にて肝臓後方に4.1×2.2 cm大の腫瘤が認められた。
身体検査
一般状態は良好だが、陰部から排膿が認められた。
その他の検査
血液検査では、白血球の上昇が認められ、膣炎や乳腺炎が一因と考えられた。
腹部超音波検査では、肝臓後方の腫瘤の他に、脾臓に低エコー源性の腫瘤が散在していた。
胸部レントゲン検査では、特記事項はなかった。
CT検査および細胞診
CT検査にて、胃幽門部から十二指腸にかけて、腫瘤が認められた。
肺転移は認められなかった。
また、胃および脾臓の腫瘤の超音波検査下での針吸引生検を行った。
胃腫瘤は細胞の採取ができなかったため、切除する事となった。
脾臓は悪性所見が認められなかった。
手術
右側乳腺全摘出、避妊手術および胃腫瘤摘出を行った。
胃腫瘤は漿膜面から切除した。
術後経過
病理検査結果において、胃腫瘤は平滑筋腫であると診断された。
また右側乳腺の腫瘤は複合乳腺腫と診断され、どちらも悪性所見は認められず、完全に切除されているとのことだった。
術後の経過は良好である。
まとめ
消化管の平滑筋腫は結合組織の腫瘍であり、高齢犬の小腸および胃に認められることが多い。
症状として、腫瘍随伴性低血糖症が認められることがある。
診断には腫瘍細胞の検出が必要である。
良性の平滑筋腫は外科的切除で、経過は良好である。