症例Report
『腸閉塞(ひも状異物)』
:2018. 4. 4
:minami
症例
腸閉塞 雑種猫 5歳齢避妊♀
稟告
3日前より頻回の嘔吐 食欲の低下
レントゲン検査・超音波検査
身体検査では脱水症状が認められ、レントゲン検査および超音波検査では消化管の偏りおよび胃内の液体貯留が軽度に認められました。以前にも誤食した経験がある猫であったため、消化管造影検査を実施しました。
レントゲン検査では消化管の偏りが認められる。
超音波検査では胃の液体貯留とともに十二指腸が湾曲しているように猫出された。
消化管造影検査
消化管造影検査では、胃からの流出遅延が認められ十二指腸の不整な陰影が猫出された。
開腹手術
異物による腸管閉塞が疑われたため飼い主様と相談の上、開腹下にて胃腸の確認を行うこととなった。麻酔下では十二指腸の湾曲は確認されなかったが、胃内に異物が触知されたため胃の切開を実施ししたところ、毛玉や糸が丸く固まった異物およびそこから続くひもが十二指腸内より索引された。十二指腸より下部の小腸に異常が認められないことを確認した後に閉腹した。
経過
術後24時間で飲水および摂食を開始し、嘔吐、腹水、疼痛などが無いことを確認し、退院に至った。ひも状異物は放置すると糸をつたって腸管がアコーディオン状にたぐり寄せられ、腸管に食い込んで穿孔を起こしたり、血行が悪くなり壊死を起こすことがあり危険な状態になる場合があります。また、胃のすぐ先の十二指腸には胆汁液や膵液といった消化液を腸管に供給する部位が含まれますので、ここが影響を受けると治療が大変困難になります。今回の症例では胃の切開のみで異物の摘出が可能でしたが、腸管に複数箇所切開しないと紐全体を摘出出来ないことも多々見受けられます。わんちゃんねこちゃんは紐で遊ぶのが大好きですが、飼い主様が見ていない時にいたずらしないようによく注意してあげたいですね。