症例Report
『頚部椎間板ヘルニア』
:2016. 1. 15
:塩見
症例
頚部椎間板ヘルニア<スピッツ 13歳 去勢雄>
稟告
左側前後肢の跛行とふらつき。
頚部椎間板ヘルニア
犬の椎間板ヘルニアは胸腰部での発生が多く、頚部での発生は15%程度と決して多くはありません。椎間板ヘルニアは変性した頸椎椎間板や椎間板物質が脊髄や神経根を圧迫することによって、疼痛や麻痺などの様々な神経症状を生じます。治療には内科療法と外科療法がありますが、内科療法の反応が乏しい場合や重度の場合には外科療法を選択します。
MRI検査
MRI検査を行ったところ、第2〜3頸椎間で軽度、第3〜4頸椎間で中程度、第5〜6頸椎間で中程度の左腹側からの脊髄圧迫所見が認められました。 これらの所見より、多発性の頚部椎間板ヘルニアと診断しました。
[MRI 頸部矢状断面]
治療
本症例では始めに内科療法を行いました。当初は症状の改善が認められましたが、再発や内科療法の反応が乏しくなってきたことから外科療法を選択しました。第2頸椎から第6頸椎間にかけて圧迫部位が多発していたので、脊椎の一部分を切除する背側椎弓切除術を実施しました。背側椎弓切除術を行う事により、椎間板物質による脊髄の圧迫を減圧させる事が出来ます。
[術中写真]
脊髄が一部確認出来ます。
[術中写真]
背側椎弓切除後。脊髄が露出し減圧が期待されます。
その後
現在3ヶ月が経過していますが、ふらつきや跛行の症状も無く経過は良好です。