症例Report
『胃拡張・胃捻転症侯群(GDV)』
:2019. 4. 25
:矢野
症例
胃拡張・胃捻転症侯群(GDV) 9歳避妊♀ チベタン・マスティフ 体重32.76kg
稟告
前日からの嘔吐(朝・夕に未消化フード)、元気・食欲低下
血液検査
BUN、Cre、LIPA、Glu、CRPの上昇
レントゲン検査
顕著な胃ガスの貯留でGDVの際に頻繁にみられるポパイサイン(胃体部の分割)がみられた。

緊急処置
GDVによる循環障害を改善するため胃穿刺による胃の減圧を行い、静脈点滴を開始した。
開腹手術
開腹すると重度に拡張した胃が確認された。用手にて捻転を整復し、胃切開によって内容物の除去を行った。その後、再発を防止するため胃の腹壁固定を実施した。
経過
術後24時間で飲水を開始し、その後摂食も開始した。血液検査値も正常に戻り、嘔吐や腹水もないことから退院となった。以前は1日1回の食事であったため、今後は食事を2回に分け散歩後に与えるようお伝えした。
胃拡張・胃捻転諸侯群(GDV)は中高齢の胸の深い大型犬に多いとされているが、若齢でも起こりうる緊急疾患である。GDVは時間とともに悪化し、胃やその周囲の臓器が損傷するとさらに生存率が低下するため早期の発見・治療が望まれる。治療は開腹手術による捻転の整復および胃の固定を行う。