整形外科
ロッキングプレートとは?
ロッキングプレートとは骨折治療に対して使用する新しいプレート(金属の板)です。
このプレートは従来のプレートと違ってスクリューとプレートが一体化するため、骨折部をより強固に固定できるようになりました。
骨折の治癒過程で、形として見た目を戻す“解剖学的整復”と同時に、治るための血液供給などを維持する“生物学的治癒”が非常に重要であると言われています。
ロッキングプレートでは、従来のプレートよりも少ないスクリューでも安定した固定が可能になる上に、正確なカウンターリング(プレートを湾曲させるなどの調整)がなくても解剖学的整復が可能になります。
また、骨折部位の血流阻害が少なくなるように設計されているため、より強固な骨癒合(生物学的治癒)が期待できます。
このロッキングプレートを使用することで手術時間の大幅な短縮および身体への負担の低下、手術後の早期の回復が期待できます。
当院ではこのロッキングプレート以外にも、骨折手術に対しては従来プレート法、創外固定法、ピン&ワイヤー法、スプリントなどによる外固定法など他の治療法も行なっております。
骨折部位、骨折の種類、骨の太さや開放骨折の有無などによって、適した治療法が異なってきます。どの治療法が適しているかを慎重に判断し、飼い主様とよく相談した上で治療を行っています。
strykerとは?
ストライカーは外科手術(特に整形外科手術)に用いる電動パワーツールです。
骨をドリルや鋸のように削る・切る、また、スクリューやピンを打ち込むなどの作業を電動で行います。人の手のみでこれらを行うよりも角度調整など精度の向上や手術時間の短縮を図ることができます。
パワーツールの進歩に伴って低侵襲性の治療が可能になり、身体への影響を最小限に抑えて回復を早めることが期待されます。
手術例としては、各種骨折、椎間板ヘルニアや大腿骨頭切除、TPLOなどの手術で使用します。
このような手術の際には、角度調整やドリルの回転スピードなどが重要になります。外科手術用ハンドツールの外観は大工用工具にとても似ていますが、精度、熱放射、振動 の面では比べものにならないほど高い要件を満たすことが求められています。
ストライカーを使用することによりこれらの正確性、効率性がより早く確実になり、手術の効率化ひいては手術後の動物の早期回復にも貢献しています。
TPLO法とは?
『TPLO』は、犬の前十字靭帯(膝の靭帯)断裂における最新の手術法の一つです。
前十字靭帯には脛骨(すねの骨)の前方への“すべり”と大腿骨との“捻れ”を抑制する働きがあります。前十字靭帯が断裂するとこのすべりと捻れが誘発され、場合によっては半月板の損傷が引き起こされます。そのため、膝関節の不安定性および強い疼痛が生じます。
TPLOは脛骨の近位(体幹側)関節付近の骨をあえて人工的に半円形に切り取り、角度をずらして専用のプレートで固定します。そうすることで脛骨の前方へのすべりを防ぎ、歩行時の膝の不安定性を解消することになります。
特に中〜大型犬や活発な子での、前十字靭帯の完全断裂または部分断裂の治療法として有効です。運動ができるようになるまでの期間を従来の手術法よりも短縮させ、関節内の変化を最小限に抑えることが出来ると言われています。